今回は野菜や豆を使ったインドカレーです。お店のインドカレーというと、どうしてもチキンやマトンに目を向けがちですが、菜食主義の国なのでむしろこちらの方が主流なのかもしれませんね。
まずはレンズ豆のカレー。小さい豆なので戻す手間はそれほどかかりません。水に浸しておく必要すらなく、洗って30分茹でればOKという簡単さ。作りたいときにささっとできるのが嬉しいですね。
肉類のカレーと比べるとスパイスはあまり多用しません。味付けも控えめですが飽きのこない一品です。「豆カレーは和食の味噌汁のような位置づけ」とどこかの本で見たことがありますが、まさにそのとおり。貴重なタンパク源を毎日食べられるように、あっさりとした味付けになったのでしょう。朝ご飯にもぴったりです。
次はカリフラワーのカレー。カレーといっても使うスパイスはターメリックと赤とうがらし、しょうがにガラムマサラ少々という、本当にシンプルなものです。
野菜の蒸し炒めにスパイスで香り付けをしたようなもので、野菜そのものの美味しさをしっかりと味わうことができます。逆に言うと、カレーの強い味付け素材の悪さをごまかせると思ったら甘かったです。
ところで、カレーの美味しさの正体は何なのでしょう?
ちょっと手元に資料がないのでうろ覚えなのですが、東京カリ~番長こと水野仁輔氏はその著書の中で、カレーの美味しさは「塩気」「うま味」「香り」の3要素からなると述べています。塩気はそのまま塩、香りはスパイス、うま味はたまねぎやトマトがあてはまり、これらがバランスよく整っているカレーは美味しい、というのです。
逆に言えば3要素が揃っていれば、少し型破りでも立派なカレーなのです。
例えば、これは四川料理の神様、陳建民氏が家でよく作ったという「10分カレー」。具材を小さいあられ切りにしてさっと炒め、カレー粉、しょう油、オイスターソースなどで味付けし、水溶き片栗粉でとろみをつけたものです。カレールウを使わず、しかも名前の通り手早く作っているというのに、口にするとちゃんとカレーになっていて不思議な気持ちになります。しかし具を細かくして短時間でうま味を引き出し、その上で調味料で補っているわけですから、カレーの本質をうまく突いているのですね。中華の鉄人陳健一氏の思い出の味なのだそうです。(『鉄鍋の掟―陳家の中華作法』陳 建一著より)
「カレーは煮込むもの」という思いこみを見事に覆してくれます。
カレーを作ろうとするとき、ルウカレーにしても変な固定概念にとらわれすぎているのかも、と思うことがあります。例えば「ルウは2種類以上混ぜるべし」「水ではなく赤ワインで煮込むべし」「たまねぎは長時間じっくりと炒めるべし」などなど。ですが、本来カレーなんてのはもっと自由に考えても良い食べ物なのかもしれませんね。
いっそのことインドカレーのルールを越えて、自分なりのオリジナルカレーを考え出したら素敵じゃないでしょうか。例えば油を控えめにした和のエッセンスを取り入れるとか、アイディア次第でカレーはどのようにも広がっていくはずです。
0 件のコメント:
コメントを投稿