2019年5月15日水曜日

怠惰な夢

私の勤める会社が身売りに出されることになりました。もともとは親会社があり、新規事業として会社の工場跡地を使おう、といういきさつで作られた会社でした。

私はそれなりに古株となりましたが、確か面接の場で社長から「この事業にはロマンがある。私の夢だった」と言われた記憶があります。しかし実体はというと、社長はほとんど会社に姿を現さない。せいぜい数ヶ月に1回程度で、来たと思ったら会社の飲み会に顔を出す程度でした。親会社の役員が取締役の1人でしたが、その人も週に2回顔を出せば良い方で、本業の片手間のような感覚だったのかもしれません。

これが完全に放置ならまだ良いです。厄介なのは、現場を知らない取締役の鶴の一声で現場が振り回されたことでした。知識もなく思いつきで仕事が降ってくるか、自分の立場を有利にしようとする連中にそそのかされて傀儡政治を敷くかのどちらか。経営方針も数ヶ月でコロコロ変わり、その全てが実を結ぶことはありませんでした。

稼働当時からの赤字体質から脱却できないのは当然の結果で、親会社から借り入れを行うことで凌いできましたが、ここにきて限界に達したか、会社を手放すことになりました。

私の面接の際に社長が言った「夢」とは何だったのか。夢やロマンを語るのは結構なのですが、実際に現実にモノを作り、従業員を雇っている以上、作りっぱなしではいけません。もしかしたら、「コンサルに全て任せておけば金になる」とでも思っていたのかもしれません。しかし、まだまだ発展途上であり、正解のない業界です。相応の知識を持ち、現状を深く理解した上で判断を下さなければなりませんでした。この顛末は因果だと、私は思います。

取締役は「不安かもしれないが安心してほしい」と言っていたものの、身勝手に聞こえて仕方ありません。

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