今までにない料理本が出ました。どことなく毒々しい赤紫の表紙、妖しくテカテカ光るシロップ状の何か、「怒濤の106040kcal」の文字。
そして極めつけは、著者が枝元なほみさんと多賀正子さん。
本書はタイトルの通り、肉、炭水化物、脂を惜しげもなく使いまくったレシピが満載です。例えば、
牛塊肉1kgをまるごと揚げた「ローストビーフ」
にんにく1粒を1個1個丁寧に包み込んだ「スタミナギョーザ」
食べきれないほど、嫌と言うほど甘いもの食べ放題「でっかティラミス」
塊の肉をまるごと使って料理したい、明日のことは考えずに好きなものを食べたい、いつもはこぢんまりと飾られたケーキを思う存分食べられたら…
いかにも体に悪そうだけれども、誰もが1度は思った欲望を満足させる、これらはまさに禁断のレシピ。
多賀正子さんは過去にも似たようなレシピを出版社に打診したそうなのですが、「さすがにそれはちょっと…」と止められていたのだとか。
その秘伝の料理を惜しげもなく公開した2人。会話も弾み、本当に楽しそうです。
「(カツサンドのカツに)薄切りの豚肉を使うと、衣たっぷりでカリッとした食感になるし、ソースが肉の中心までドボドボッてしみ込んで、豚カツよりしっかり味が入るんですよ」
「だって、マッシュポテトって飲み物みたいなものでしょう?」(と言いつつ大量のバター、マヨネーズ、生クリームを…)
(『禁断のレシピ』の禁断の裏話より)
もちろん、ウン千キロカロリーの禁断の料理たちを一人で食べろとは言いません。枝元なほみさんはパーティ料理にぜひと言います。
みんなで食べれば怖くない…?
この本を紹介しておいて何ですが、私の食事はというと、普段は野菜中心でして、本書とは真逆の食生活を送っています。それどころか歳のせいか肉や揚げ物類はもう量を食べられなくなってしまい、正直なところ、料理の写真を見るだけで胃がずーんと重くなるくらいです。しかし…
気心の知れた友人たちと「今夜は弾けようぜ」とか言って、ジャンキーな食べ物をがんがん食べながら、夢や愚痴、良いことも悪いことも含めてワイワイ語り合う。そして翌朝、重い胃袋を抱えながら気だるそうに、しかし変な充実感に満たされながらそれぞれの帰路につく…なんて、まるで青春の1ページにある光景みたいで、私はちょっと憧れを抱いてしまいます。
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