2011年12月26日月曜日
紫雲膏
秋のことですが、日本メディカルハーブ協会の主催するセミナーで東邦大学の薬草園を訪れました。
東邦大学薬学部には生薬学教室があります。漢方やハーブを用いた植物療法を専門とし、付属病院にはハーブ外来もあるのだとか。その一角には薬草園が設けられており、さまざまなハーブや薬用植物が育てられ研究で活かされています。
どの植物もていねいに育てられており、ローズマリーなんかは人の背丈に届かんばかりに生長していました。大学がいかに本気で取り組んでいるかが良くわかります。
そして、薬草園見学のおみやげにいただいたのが、紫雲膏という塗り薬です。
紫雲膏は江戸時代の医師、華岡青洲が創った軟膏です。切り傷や痔の外用薬として用いられてきましたが、特に軽いやけどを負ったときに患部に塗ると痛みがすぐに収まるといいます。
その気になれば自分で作ることもできます。
【紫雲膏】
・材料
ごま油…50g
ミツロウ…17g
漢方薬
トウキ…3g
シコン…6g
ラード…1g(肌になじみやすくなるが、日持ちがしなくなるので省略可)
・作り方
1. 鍋にごま油を入れて熱し、200℃の状態を60分保つ。
2. 1にミツロウを入れて溶かし、トウキを少しずつ入れ、油の温度を170℃に保ったまま5分加熱する。
3. トウキを取り除き、油を少し冷ます。シコンを入れ、油の温度を140℃に保ったまま5分加熱する。
4. 油を漉し、混ぜながら冷ます。
ごま油の温度を正確に保つのがポイント。トウキやシコンから成分を最大限抽出しつつ、かつ熱で劣化しないギリギリのところをキープします。
シコンは漢字で「紫根」と書くように、古くから紫色の染料として用いられてきました。これはシコニンという色素によるもので、抗菌や外傷を塞ぐ効果があります。
トウキはアンジェリカの仲間で、肌つやを良くしてくれます。
原料のシコンが現在入手困難になり、紫雲膏にお目にかかる機会はめったにないかもしれませんが、好きな人は手放せないといいます。
さて、そんな貴重な紫雲膏をせっかくいただいたものの、なかなか使う機会がなく埃をかぶっていました。しかし冬になり、手があかぎれだらけになると存在感が増してきました。
あかぎれには風呂上がりに紫雲膏を塗り、絆創膏を貼るか綿の手袋をはめて寝ると、軽いものなら翌日には傷口が塞がります。普段から水仕事をしていて、あかぎれに悩まされる身としては非常にありがたいです。
もっとも、あかぎれが塞がっては開くという、いたちごっこは延々と続いていますけどね…。
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