2011年12月30日金曜日

鶏のお雑煮

年始のお料理は、とりあえずおせちとお雑煮を作るようにしています。おせちと言っても近所の市場が終わる間際におつとめ品を買い漁って、ささっと作るくらいのものですけれども。それでも、こういったハレの日の料理はいつもよりちょっとだけ気合いが入ります。
土井善晴氏は著書の中で「暮れになると一年の『反省』と『礼』をこめて、人が集まり、『けじめ』というか『決着』をつける気分になる」(『おかずのクッキング 2011年 01月号』より)と表現していましたが、そんなところなんでしょうかね。

私のお雑煮は関東風のもの、焼き餅にすまし汁を合わせたものと決めています。
徳島の実家で出されるお雑煮は、味噌仕立てで丸餅をドロドロになるまで煮込んだものでした。餅だけでなく汁までも喉にまとわりつくような感覚が私にはどうしても好きになれず、かといってご飯を炊いてもらえるわけではなかったので、正月は常に腹を空かしていました。
というわけで実家を出てからというもの、年末年始に帰省したことは一度もありません。

しかし、大学進学で家を出て、関東風の煮込まないお雑煮を初めて知ったとき、さらっとしていて何てスタイリッシュなんだと感動したものでした。それ以来お正月では必ず作るようにしています。


$のだのブログ(仮)
【鶏のお雑煮すまし仕立て(4杯分)】
・材料
だし汁(鰹と昆布の合わせだし)…4カップ
角餅…8個
鶏もも肉…1/2枚
かまぼこ…1/2本
三つ葉…少々
ゆずの皮…少々
薄口しょうゆ…小さじ1
塩…小さじ1

・作り方
1. 鶏もも肉は皮と余分な脂を取り除き、一口大に切り、熱湯にさっとくぐらせて霜降りにする。かまぼこは5mm程度の薄切りにする。三つ葉は結び目を作る。
2. 鍋にだし汁、かまぼこ、1の鶏もも肉を入れて火にかけ、あくが出たら取る。
3. 並行して、角餅はオーブントースターで両面に焼き色がつくまで焼く。
4. 2の鍋に塩を入れて味を調え、火を止めて薄口しょうゆを加える。
5. 器に焼いた餅を入れ、4の吸い地を上からかける。仕上げに三つ葉とゆずをあしらう。


鶏肉の脂分を控え、すっきりとさせました。元日のお食い初めでは皮や脂を取らずにそのまま煮ることもあるのですが、二日三日と続くとさすがに疲れてきます。なので、正月から日が経つにつれて、あっさりとした味に仕立てていきます。


年始のお料理をしつつ、合間に今年を振り返ることがあるのですが、とにかく今年は大変な一年でした。
東日本大震災もそうですが、震災をきっかけに人の業とも呼べるものがあらわになり、これらを見るにつけ何ともやるせない気持ちになったものでした。
私自身も5年近く勤めた会社を退職し、自分で決断したこととはいえ不安で心細い日々が続きました。

来年は良い年になるのか、それとももっと悪くなるのかわかりませんが、とりあえず、美味しいものを作って、食べているうちは、まあ何とかなるんじゃないでしょうか。

来年も、おいしいものが皆さんの側にいつもありますように。

2011年12月26日月曜日

紫雲膏

$のだのブログ(仮)

秋のことですが、日本メディカルハーブ協会の主催するセミナーで東邦大学の薬草園を訪れました。

東邦大学薬学部には生薬学教室があります。漢方やハーブを用いた植物療法を専門とし、付属病院にはハーブ外来もあるのだとか。その一角には薬草園が設けられており、さまざまなハーブや薬用植物が育てられ研究で活かされています。
どの植物もていねいに育てられており、ローズマリーなんかは人の背丈に届かんばかりに生長していました。大学がいかに本気で取り組んでいるかが良くわかります。
そして、薬草園見学のおみやげにいただいたのが、紫雲膏という塗り薬です。


紫雲膏は江戸時代の医師、華岡青洲が創った軟膏です。切り傷や痔の外用薬として用いられてきましたが、特に軽いやけどを負ったときに患部に塗ると痛みがすぐに収まるといいます。

その気になれば自分で作ることもできます。

【紫雲膏】
・材料
ごま油…50g
ミツロウ…17g
漢方薬
 トウキ…3g
 シコン…6g
ラード…1g(肌になじみやすくなるが、日持ちがしなくなるので省略可)

・作り方
1. 鍋にごま油を入れて熱し、200℃の状態を60分保つ。
2. 1にミツロウを入れて溶かし、トウキを少しずつ入れ、油の温度を170℃に保ったまま5分加熱する。
3. トウキを取り除き、油を少し冷ます。シコンを入れ、油の温度を140℃に保ったまま5分加熱する。
4. 油を漉し、混ぜながら冷ます。


ごま油の温度を正確に保つのがポイント。トウキやシコンから成分を最大限抽出しつつ、かつ熱で劣化しないギリギリのところをキープします。

シコンは漢字で「紫根」と書くように、古くから紫色の染料として用いられてきました。これはシコニンという色素によるもので、抗菌や外傷を塞ぐ効果があります。
トウキはアンジェリカの仲間で、肌つやを良くしてくれます。
原料のシコンが現在入手困難になり、紫雲膏にお目にかかる機会はめったにないかもしれませんが、好きな人は手放せないといいます。

さて、そんな貴重な紫雲膏をせっかくいただいたものの、なかなか使う機会がなく埃をかぶっていました。しかし冬になり、手があかぎれだらけになると存在感が増してきました。
あかぎれには風呂上がりに紫雲膏を塗り、絆創膏を貼るか綿の手袋をはめて寝ると、軽いものなら翌日には傷口が塞がります。普段から水仕事をしていて、あかぎれに悩まされる身としては非常にありがたいです。
もっとも、あかぎれが塞がっては開くという、いたちごっこは延々と続いていますけどね…。

2011年12月18日日曜日

干ししいたけ

野菜ソムリエのセミナーに行ってきました。今回のテーマは原木干ししいたけ。

2時間みっちりと干ししいたけのことを学びます。産地や製法の違い、どんこ(かさが半開きのもの)とこうしん(かさが開ききったもの)の使い分けなどなど話は尽きず、時間が足りないくらいでした。

最初にセミナー恒例の食べ比べがあるのですが、ここで出されたのが、焼いた干ししいたけ。
煮物に入れるくらいしか使い道が思いつかなかっただけに、「なんで焼いたものが?」と不思議な気持ちで口にしたら、これが案外いけました。
ご存じのように干ししいたけは、うま味の固まり。焼くことで水分が飛ばされ、うま味がぎゅっと凝縮されるわけです。そして身が締まっているので歯ごたえも申し分がなく、ちゃんとした一品に仕上がっていました。
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作り方は単純で、戻した干ししいたけの水気を絞り、サラダ油で両面に焼き色がつくまで焼くだけです。味付けはシンプルな塩がおすすめですが、めんつゆを仕上げに少し絡めてもおいしいです。


さて、試食会の中で出された料理の1つが、「乾しいたけの肉厚豆腐ハンバーグ」。
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「肉詰め」と銘打っていないのがミソです。メインはあくまでも干ししいたけで、肉種は添え。肉種にはあいびきの他に水切りした豆腐、野菜をふんだんに取り入れ、軽い仕上がりになっています。
そして干ししいたけは、めんつゆを軽く煮絡めただけなのにじっくりと煮染めたかのようなうま味を抱えていて、存在感あふれる主役に仕上がっていました。これは、ちょっと驚きの美味しさでした。

素材の善し悪しがストレートに出るので、しいたけは原木栽培で国産のものを使いたいものです。肉厚などんこであればなお良いでしょう。
戻しもあわてず、ていねいに。冷水につけて冷蔵庫で一晩(10時間)置いておく…と書くと尻込みしてしまいますが、朝食を作るついでに仕込んでおけば、夕飯のおかずに使えます。


脇役と思っていた干ししいたけでも主役になるだけの器量がある。意外な側面を再発見しました。

日本産・原木乾しいたけをすすめる会http://j-shiitake.com/wp/

2011年12月13日火曜日

アロマボランティア

12月の3日、4日と、日本アロマ環境協会(AEAJ)のボランティアとして気仙沼の仮設住宅に行ってきました。

現在の復興ボランティアは大きく分けて2種類あり、がれき撤去をはじめとした物理的なものと、傾聴といった精神面の支援があります。
今回のボランティアは、ずばり後者の支援。
アロマの協会らしく香りを使って、少しでも心落ち着く時間を提供したい…という趣旨のもとで行われました。仮設住宅の中の一角をお借りして、ハンドトリートメント体験やクラフトを提供したり、ハーブティーを仕出します。


3日は暴風雨の中、たくさんの方に来ていただきました。
私はクラフト製作を担当。精油を使った手作りルームスプレーの作り方を子供やお年寄りに教えます。
もの珍しいのか皆さん興味津々で、熱心に手を動かします。
なじみのあるオレンジのスプレーが人気でしたが、ユーカリのものも好評。
「ユーカリのスプレーは殺菌してくれますよ」
「これからの季節にいいわね~」

仮設住宅の中は匂いがこもっていた、と他のボランティアから聞きました。狭い敷地でにおいがこもってしまうのかもしれません。私も狭いワンルームに長年生活しているので経験がありますが、生活臭がこもっているとリラックスするにしてもできないんですよね。
日常の中にアロマを取り入れると、いくぶんかは過ごしやすくなるのかも…そんな期待を抱いています。


4日は幼稚園で他のイベントと重なったのか、ちょっと暇。
と、そこに小さい男の子が来ました。
「折り紙つくりたい」
それならば、と私も一緒に折ることにしました。
簡単なコップから始まって、巾着やサンタのような難しいものにも一緒にチャレンジ。そこに精油をたらした綿を詰めたら、香る折り紙のできあがり。
あれもこれもと男の子につきあっていると、気がついたら小一時間ほど経っていました。

来てくださった方々の誰もが笑顔で帰っていくのを見て、私も役目を果たせたのかなと、ほっとしました。
行くまでは変に身構えていて、「震災の話題が出たらどうしよう…」と不安になっていたのですが、いざふたを開けると杞憂に終わりました。皆さんクラフト作りに没頭していたのもよかったのかもしれません。


気仙沼は震災の被害が大きいうえに行政も麻痺していることから、9ヶ月経った現在も震災の爪痕が見られ、元どおりになるにはまだまだ時間がかかりそうです。ひととおり仮設住宅は設置され、生きていく上で最低限のライフラインはだいぶ整備されているように見えますが、次は被災者のメンタル面に焦点が移りつつあるのではないでしょうか。ボランティアもまた然り。傾聴のような精神面の支援も、これから拡大していくのでしょう。
AEAJのアロマボランティアは通算5度目となるのですが、手探りの中で進めてきたとスタッフから聞きました。今後どのような方向に向かうのか、注目していきたいと思います。

2011年12月8日木曜日

葉付にんじん

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散歩の道すがらに見つけた産直で手に入れました。
普通のにんじんは一般的ですが、葉付きのものはなかなか見かけません。足が非常に早いので、大手スーパーでも扱いきれないのだとか。なので目にしたら本当にラッキー。私は即買ってしまいます。

葉は青みと苦みが強く、山菜のように滋味あふれる味わいです。
注目したいのはその栄養価。ビタミンB2、Cやカルシウムなど、根とは違った栄養素を豊富に持ちあわせ、体調のコントロールに一役買います。
よく「春は苦味」といいますが、それは苦味のほとんどにデトックス作用があるから。葉付にんじんも他に漏れず、苦味のなくなる秋から冬にかけての貴重な解毒野菜となるでしょう。


調理の際はやわらかい葉先と、筋張っている茎を使い分けるのがポイントです。葉先は茹でてそのままゴマ和えやおひたしに。茎は細かく刻んで火を通すのが良いでしょう。
また、油と非常に相性が良いです。苦みも和らぎ、小さなお子さんでも食べやすくなります。かき揚げなんかいいですね。
根は普通のにんじんと同じ食べ方でOKです。

今回はチヂミにしてみました。チヂミは野菜をたっぷりといただけるし、これだけで1食になるお手軽な食べ方です。

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【葉付にんじんのチヂミ】
・材料(20cm1枚分)
葉付にんじん
 葉…2本分
 根…1本
生地
 小麦粉…30g
 もち粉…30g
 卵…1個
 だし汁…1/4カップ
たれ
 ポン酢(または酢醤油)…適量
 おろしにんにく…適量
 粉唐辛子…適量
 すりごま…適量
ごま油…大さじ2


・作り方
1. 葉付にんじんの葉先は粗くきざみ、茎は小口切り、根は千切りにする。
2. 生地の材料をよく混ぜ合わせ、葉付にんじんを加えてさらに混ぜる。
3. フライパンを熱し、ごま油の半量を入れる。1を流し入れ、中火で表面がきつね色になるまで焼く。
4. 生地をひっくり返し、フライパンにごま油の残量を足す。生地を押さえつけるようにして焼く。
5. 両面に焼き色がついたらお皿にもりつけ、合わせたたれと一緒にいただく。


先に書いたとおり非常にいたみやすい野菜なので、遅くとも手に入れた翌日、できればその日のうちにいただきたいものです。

2011年12月1日木曜日

舞茸ご飯

きのこが美味しい時季ですね。年中出回っている印象がありますが、今の頃にシンプルに焼いて食べたりしていると季節を感じます。


たくさんの舞茸が手に入ったので、今回は舞茸の炊き込みご飯を作ることにしました。

さてどうやって作ろうかと調べていると『日本のお米、日本のご飯』(土井善晴著)に、ちょっと変わったまつたけご飯の作り方が載っていました。

ポイントはまつたけの切り方。なんでも、まつたけを大きい形のまま炊くのは料亭の仕事で、見栄えを良くするためである。対して家庭の仕事では味を重視して、お米となじむ程度の大きさにまつたけを切るのが良い、と。

それならば、と私は閃きました。舞茸ごはんも同じようにやってみよう。

舞茸は1cm角程度のうすい板状にします。
先のひらひらしている部分は適当にざく切り、堅い軸は薄切りにします。
コクをプラスする鳥もも、油揚げは舞茸より細かいみじん切りにします。
具材に醤油、酒で下味をつけたら、後は昆布だしでふつうに炊きます。

できた炊き込みご飯は、舞茸のおいしさとご飯とがなじみ、いつもとひと味違うものができました。
のだのブログ(仮)


ちなみにこの炊き込みご飯、おにぎりにして竹皮で包んで持っていきました。
学校の仲間と新宿御苑を見学した際に芝生の上で広げたのですが、見るやいなや「武士のご飯みたい」と言われました。(笑)