2014年4月26日土曜日

伝統と創造の和三盆 徳島県 岡田製糖所


砂糖の一種である「和三盆」は徳島、香川の名産品として知られ、高級和菓子の材料として用いられています。優しい甘さでありながら、口どけが良いので後味はすっきり。
果物にかけたり、お汁粉に加える使い方はもちろんのこと、お茶請けとして塊を数個、和紙にそのまま盛っても様になります。

特に徳島県の岡田製糖所は創業して以来、変わらない伝統的な工程を守りながら和三盆を製作しています。

その甘味の幽玄さ、舌にとけ入る淡雪か真清水の岩間を滴るる如く、凛々として尽きぬ甘味、誠に阿波三盆糖は茶人の糧であり、甘さの三昧境にある好嗜者のみの知る秘境である。
(岡田精糖所 製品紹介文より引用)

私は徳島に帰省すると、必ず500g程度の大袋で買います。先のようにお茶請けとしていただくのはもちろんですが、ロールケーキやパウンドケーキ、メレンゲ菓子のように素材そのものをシンプルに調理するお菓子や、フレンチトーストやドーナツにまぶすのも美味しいもの。
また徳島県内には和三盆をふんだんに用いたスイーツを看板商品としたカフェ、土産店が点在しており、これがまた美味しい。例えば徳島市の商店街にあるチュロス専門店「chuchu churros cafe(チュチュ チュロスカフェ)」もその一つで、もっちり、飽きのこない美味しさの米粉チュロスに、和三盆の穏やかな甘さが良く合います。私も帰省すると必ず一度はお邪魔しています。


徳島のお土産としては、私はダントツに和三盆をお勧めしたいところなのですが、実際に勤め先に配るとなると難儀していました。粒を小分けして配る手間もあるのですが、最高級とはいえ、何しろお砂糖ですから…地味に映ってしまいます。
まあコーヒーや紅茶好きの知人には受けが凄く良いのですが…


ところが、最近になって老舗和菓子店とコラボして「鳴門っ娘」という商品が新発売していました。
原材料は、さつまいも、和三盆、紫芋粉の3つのみの潔さ。同じ徳島県の名産である鳴門金時をモチーフにしており、さつまいもと和三盆の優しい甘味が合わさった絶品です。その味は観光庁にも認められ、「世界にも通用する究極のお土産」に認定されています。
1個百数十円で販売しており、お土産にぴったりのサイズなのもうれしい限り。

これを機に阿波の和三盆が、より広く認知されることを祈るばかりです。


岡田製糖所:http://www.wasanbon.co.jp/
岡田糖源郷:http://tabelog.com/tokushima/A3601/A360101/36004369/
和庵 鳳月坊:http://hohgetsubo.jp/index.html

2014年4月15日火曜日

心が不安定なときのハーブ  パッションフラワー


早春、植物が活発に活動する時期は「木の芽時」という別名があります。寒さで生命活動が停滞する冬を乗り越え、まるで待ちわびたかのように生長する緑の姿はとても美しいもの。お店にも鮮やかな緑の野菜が並び始める頃合いです。

しかし、木の芽時というものは、人間には案外優しくない季節なのではないでしょうか。朝晩の寒暖差が激しく、それだけでなく卒業や就職など身の周りも大きく変わる。気がつけば心身ともに疲労が蓄積してしまいやすいものです。

昔から「五月病」という言葉がありました。4月から新しい環境に身を置き、一所懸命に頑張ってきたものの、息切れしてしまったり、ふと我が身を振り返る機会があるのが、ちょうど2ヶ月目なのでしょう。


この時期は神経をゆるめ、心身の緊張をほぐすように心がけましょう。
ハーブティーではパッションフラワーがおすすめです。

パッションフラワーは「キリストの愛」という意味があります。知ってか知らずか、その名前のとおり自律神経を整えるハーブとして知られ、精神的な緊張や偏頭痛などを抑えられると親しまれてきました。

ストレートのティーは青臭く、苦みがあり好みが分かれます。カモミールやリンデンなどのリラックス系ハーブに少しブレンドすると良いでしょう。


アルコールでパッションフラワーの成分を抽出し、チンキ材にするのもおすすめです。

心がざわつきやすいと思われるのでしたら常備しておくと安心です。不安にかられて眠れないときなど、白湯に1、2滴混ぜていただいてみましょう。


■パッションフラワーのチンキ(できあがり約100cc)
・材料
パッションフラワー(ドライのもの)…15g
ウォッカ…150cc弱

・作り方
清潔な瓶に材料を全て入れ、冷暗所に2週間置いたらコーヒーフィルターなどで漉す。1年ほど保存が効く。

2014年4月8日火曜日

ローズマリー・リキュール

春先になると、さまざまな植物が花を咲かせます。もちろんハーブも例にもれず、セージ、タイム、ローズマリーなどが可愛らしい花を見せます。
うちで育てているローズマリーも花が咲きました。ほのかな藍色が見える、白い花です。


花を食べてみるとローズマリー特有のスッキリとした風味があります。むしろ葉の部分より香りが強いのかも、と思うほどです。しかし、そのぶん葉や枝の部分の香りが弱まってしまいました。
どうやら植物にとって、花を咲かせるということは相当なエネルギーを要することのようです。菜の花が良い例ですが、葉物の野菜は硬くなってしまうか風味が落ち、食用に耐えられなくなります。
ローズマリーの場合は、葉や枝にある香りが花に集まるのです。

ローズマリーが全身全霊を込めて作り上げた花をどう活かすか。
料理にも使えなくはないのですが、食べるのは一瞬のことで、なんだか惜しい。このパワーを余すところなくいただくには、リキュールにするのが良いでしょう。


【ローズマリー・リキュール】
・材料
ローズマリー…適量
ウォッカ、ホワイトリカーなどの蒸留酒…適量

・作り方
清潔な瓶に材料の全てを入れ、1~2週間漬け込む。


度数が強く、混じり気の少ない蒸留酒に漬け込むことで、ハーブの有効成分を抽出しやすくなります。
もともとローズマリーは弱った身体に活を与える効能がありますが、春先の生長しようとするエネルギーも加われば効果はてきめん。まさに滋養にあふれた薬用酒のような仕上がりになります。


お酒はワインでも代用でき、飲みやすくなります。作り方はこちら

2014年4月1日火曜日

花粉症とエルダーフラワー


花粉の飛び交う時期になりました。ひどい花粉症持ちの知人は、2月の始めから症状が出ていて寝込むほどでした。普段より花粉の出が早いようです。環境の急な変化にさらされると植物は種を守るために花を咲かせようとする、と聞いたことがありますが、今年の大雪や気温の激しい変動が花粉を早くから出している一因なのかもしれません。

ハーブの花粉症対策で知られているのはドイツの春季療法です。
これは冬の終わりからネトルのハーブティーを毎日飲み続けるというもの。寒い冬から春を迎えると代謝が活発になる、すると吹き出物やアレルギーなど肌のトラブルに襲われることが多いのですが、これらを予防すると言われて親しまれてきました。手軽な民間療法です。


春季療法はゆっくりと体質改善を図りますが、もし間に合わずに鼻水、くしゃみ、せきなどの症状が出てしまったら、エルダーフラワーを使ってみましょう。エルダーフラワーのハーブティーは身体を温め、風邪や鼻水などを和らげるためのハーブとして親しまれてきました。冬から春の時期に持っておくと良いでしょう。

イギリスではエルダーフラワーのコーディアルという飲み物が親しまれています。エルダーフラワーをシロップ漬けにした甘い飲み物で、お湯などで割っていただきます。ハーブティーより手軽に飲めますし、小さな子供でも親しめるのが嬉しいもの。なかなか見かけませんが、輸入食品店やアロマ、ハーブの雑貨店で購入することができますので、機会があれば試してみてはいかがでしょうか。