2018年7月17日火曜日

黒い記憶

近所の商談会のパンフレットで、久しぶりに前に勤めていたハーブ園の名前を見ました。
まだ続いていたのか。

1年いましたが、ひどいところでした。少しは名が知れているようでしたが、所詮は田舎の冴えない中小企業で、従業員はこき使わされ、社長夫婦は一日ネットサーフィン。私が辞める頃には給与どころかガソリン代すら満足に出せなくなってしまい、ローズマリーの大木をトラクターではなく人力で引っこ抜くという暴挙に出ていました。ここまで末期だったというのに、まだ会社は残っているのが不思議です。まあ会社というのは、思っている以上にしぶといものなのかもしれませんが…

そこで知り合った仕事仲間たちとは今でもたまに会いますが、もしそのハーブ園の名前が出ようものなら、怒りが噴出して悪口が止まらなくなるか、苦々しい表情になってしまうか。

ここで得た物は何かと聞かれれば、何もありません。栽培技術も今振り返ると稚拙、従業員どころか顧客も大切にしない、生産計画もあったものではなく。ただただ、反面教師となる面ばかりでした。退職したとき、あんなふうにはならないと心に誓ったものでした。強いていえば、ここで出会った仲間たちは、貴重な財産になっていますが。

しかし、また意外な所でハーブ園の名前を目にします。県に新規就農の相談をしたときのこと、
「まずは1年間、指定の農家に研修に行ってもらいます。ハーブを扱っているのでしたら、ここでしょうか。」
あのハーブ園でした。
「うーん、過去に退職しているから、また行きづらいとはおもうんだけど、ここは頭を下げてまた勉強しに…」
それは絶対にあり得ません。

それにしても、こんなブラックな農家がなぜ、県の研修先として指定されているのか、私には理解できませんでした。あの社長のことですから、研修を名目にして延々と雑草取りしかさせないでしょう。数字に弱いから就農計画もろくに作れるはずがない。農地の斡旋もできないのに、果たして実績はあったのだろうか…おそらくないはずですが、裏を返せば、県の方も研修先として適正かのチェックすらしていないわけですから、県の新規就農支援も期待できないな、と見切りをつけることにしました。