2018年9月17日月曜日

対価と価値

私の作っているハーブは農薬、化学肥料を使用していません。肥料は緑肥や油かすを中心にして、動物性のものは極力使用しないようにしています。土づくりも草やわらを敷くことで、自然に任せてふかふかの土にしています。

借りている農園で色々と試し、いわゆる「ぐうたら農法」を真似たものを目指すことにしました。最初の手間はかかるのですが、家庭菜園レベルでは特に問題にはならないですし、何より美味しく仕上がります。

やっていること有機農業ですが、まあしかしハーブというのは、もともと痩せた土地でもそれなりに大きくなりますし、精油が虫除けに使われることもあるので、野菜と比べると手間はかからないと思います。これを普通の野菜でやるとなると、虫害が後を絶たず、肥料切れを起こすと味が悪くなってしまいます。その苦労は想像を絶するものと思います。

ハーブの有機栽培なら規模を拡大させても大きな苦労はないはずです。唯一面倒なのは除草ですが、防ぐ方法はいくらでもあります。なので、結果的に私の栽培は有機栽培になると思います。

ただ、有機JAS認証は取らないつもりです。実際に認証を取っている農家にいましたが、認証を維持するのが本当に大変だからです。

まず、有機JAS認証シールの管理をきっちりとしないといけません。有機JAS認証機関は、食品表示偽装には非常に厳しく、認証を取らずにオーガニックを名乗れば不届き者とみなされ、容赦がないらしいです。そのため、オーガニックの野菜であることを示す認証シールは、盗難や誤用が許されません。

袋やパックにそれとなく貼られているあのシールですが、あれはまるで水戸黄門の印籠のようなもので、実は1枚単位の管理をしています。使用枚数、出荷枚数も厳密な管理が求められ、事務処理の負担が大きかったのです。ITの導入が必要不可欠ですが、果たしてITの知識を持てる農家がどれだけ存在するか。そもそもきっちりと管理ができるかどうか。

私のいた農家は管理がずさん極まりなく、普段は完全放置、気が向いたらシールの管理をして現場を振り回してました。たまに機関の立会いがあったようですが、どうフォローしていたのか皆目検討がつきませんでした。

晴れて有機JAS認証の作物を出荷しても、手間に見合うだけの値段がつくことがありませんでした。市場に出荷しても二束三文であり、ここまで買い叩かれるのかと愕然とした記憶があります。物によっては、どう考えても従業員の時給分にすらならず、作るだけ赤字となっていました。(とはいってもそんなものをわざわざ作って出荷する方も問題はありますが)

私は、そこまでして有機JAS認証を取得することに意味があるのか、最後までわかりませんでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿